住宅購入を考える人の中には、中古物件を検討している人もいます。しかし、中古物件を購入するときには、状態をしっかり把握しておくことが大切です。購入後に修理箇所が見つかれば、売る側とのトラブルも起きかねません。そこで今回は、中古物件の状態を調査するインスペクションの内容やメリットについて詳しく解説していきます。
インスペクションとは
インスペクションとは、インスペクターと呼ばれる有資格者が目視や測量などで物件の状態を調査することです。新築よりも購入費が抑えられる中古住宅ですが、修繕費に多額の費用が掛かる可能性もあります。柱や壁の老朽化が激しければ、家が傾いたりゆがんだりする可能性も出てくるものです。
床下に白アリがいたり、雨漏りしたりすることもあるでしょう。最悪の場合、地震での倒壊や崩壊も起きてしまいます。以前の持ち主によって状態が異なる中古物件は、見た目はきれいでも中身は分からないものなのです。
また、中古住宅の売買は購入者だけでなく売る側にもリスクがあります。購入後に損傷や劣化が見つかれば、多額の費用が請求される可能性があるのです。物件購入後の不具合で、購入者との間にトラブルが起こることもあるでしょう。
双方が気持ちよく取引をするためにも、物件の状態はしっかり調べておかなければいけません。物件の状態は自分たちでもある程度判断できますが、天井裏や床下まで調べるのは大変です。その上、物件の劣化は目に見える場所だけではありません。
建物の構造や建築基準を知らなければ、細部まで把握するのは不可能でしょう。インスペクションの実施自体は義務化されていませんが、これからインスペクションの需要はどんどん高まっていくと予想されています。
売る側のインスペクションのメリット
次に、インスペクションのメリットを売る側の視点から紹介します。
安心して売却できる
物件売却後に雨漏りなどが起きた場合、購入者から修理費用を請求されることになります。売却後のトラブルは、費用がかかるだけでなく会社の信用問題にも関わるでしょう。せっかく物件を購入してくれた買主とは、円満な関係を築きたいものです。
その上、2020年の民法改正により、不具合がある物件を売却した売主には、重い責任がかかるようになりました。欠陥がある中古物件の売却は、社会的にも大きな罪になるのです。
売却前に中古物件の状態を細部まで調べることで、トラブルを心配することなく安心して取引できます。予想外の出費が発生することも、会社の信用が失われることもなくなるでしょう。また、購入者からクレームを言われる可能性も低くなります。
高値で売却できる
建物の状態を細部まで調査した物件であれば、購入者も安心して購入できます。インスペクションをした住宅は、ほかの中古物件より高値で売り出せるのです。物件の状態がわかっていれば自信を持って説明ができ、スムーズに取引も進められます。
買う側のインスペクションのメリット
一方、買う側には以下のようなメリットがあります。
安心して購入できる
会社によっては、中古物件購入後に不具合が見つかっても保証が受けられないこともあります。保証がなければ、自分たちで多額の費用を払わなければいけません。物件購入後の欠陥は、財布だけでなく気持ちにも大きなダメージを与えてしまうでしょう。
購入後の住宅コストが把握できる
中古物件は新築に比べ、劣化するのも早いです。快適に生活するためには、定期的なメンテナンスや修繕が必要になります。予想外のトラブルや突然の損傷が起きることもあるでしょう。インスペクションを受けることで物件の状態だけでなく、メンテナンス時期や修繕時期なども知ることが可能です。メンテナンスやリフォームの計画を立てることもでき、資金も用意しておけます。
インスペクションの内容
インスペクションはインスペクターと呼ばれる専門家が現地におもむき、柱や壁、天井などを目視や測量で調査します。木造住宅であれば木材の腐りやシロアリの被害、鉄筋住宅であればひび割れなども確認してくれるのです。
より詳細に調査したい場合家の傾斜や鉄筋状態を調べることも可能ですが、別途オプション料金がかかるので注意しましょう。ちなみに、調査にかかる時間は数時間で立会いも必要ありません。また、かかる費用は4万円〜6万円ほどです。
天井裏や床下がある一軒家の方が、集合住宅より時間や費用も多くなります。また、機械を使用して精密な調査を行う場合10万円以上かかることもあります。多くの費用が掛かりますが、劣化が激しい古い中古物件は細部まで調査することが望ましいです。
自治体によってはインスペクションに補助金も用意しています。精密な調査を行うときには、事前に一度問い合わせてみるのもおすすめです。
まとめ
ここまで、インスペクションのメリットについて詳しく紹介しました。インスペクションの費用は決して安くはありませんが、補助金制度を利用すれば負担も抑えられます。客観的な視点で物件の状態を確認してもらえれば、安心して売却や購入もできるでしょう。
中古物件の状態は見た目だけではわからないものです。心地よく取引するためにも、ぜひインスペクションを受けるようにしてください。